ところが君は笑った、

備忘録のようなもの

1年冬学期の振り返り

年度末に秋学期とまとめて振り返るやつをやっています。

授業の話

秋学期まではELAの制約で1学期に取れる単位数の上限(ストリームごとに決まっている)が「ELA以外の合計が10以内(PEをとるなら10+1/3以内)」と定められていたのですが、冬からはELAの制約が外れたので、RWを含めた標準の制限になりました。

ehandbook曰く標準受講単位数は13とのことで、単位上限は18のようですが*1、春と秋が週4コマ(+Tut)のELA+9単位+PEで実質13単位程度で、自分としてはいっぱいいっぱいなくらいに忙しかったため、一気に増やすのは危険だと判断してRW含めて15単位にしようと考えました。

ELA / RW

どのストリームでも最後に倒さなければならないELAの集大成ことRW。それまでのセクションに関係なく抽選で割り振られたトピック別のクラスで、一学期かけて長いエッセイを仕上げるらしい……程度の事前情報しか知りませんでした。

どういう流れでか春か秋に数学のTAさん(ICU卒)にARWで書いたエッセイを見せることがあって、その時に「RWで書くようなエッセイだね」とコメントをもらっていたので、自分が全力を出して真面目に書いたエッセイはRWでも通用すると思えていて、あまり肩肘張らずに臨めました。

エッセイを一本書くだけなのかと思っていましたが、どうやら先生によってスタイルの違いがあるらしく、同じスト2でも別の先生のクラスになった友人は小さいエッセイを2本ほど書かされてから本番のエッセイを書いたとのことでした。

私のあたった先生は前半に講義形式でトピックに関係する情報を提供しつつ、自分たちでも関係しそうなニュースを持ってきて週イチでグループディスカッションをさせ、クリスマス休暇が明けた頃からじわじわとエッセイを書くことそのもののテクニカルな講義に移行しつつチュートリアルをするようになっていました。

前半のトピック関係の講義はもともと興味のあるトピックだったため非常におもしろかったのですが、後半の技術的な講義は「それ春も聞いたし」と思う内容だったのがやや残念です。春と秋を経て思ったのですが、おそらくICUのELAでは講師ごとの個人差の大きい授業が行われるため、「これはみんな習ったよね」と見做せる範囲が少なくて既習だ~と思う授業になるのかもしれないです。

チュートリアルに何度か行ったところ、非常に熱心ではあるもののあまり強い批判はしない先生だったので、先生よりも自分の方が「こんなエッセイではだめだ」と強い気持ちを持って書いていたと思います。書くこと自体は苦ではなかったのですが、自分で納得できない時に先生に相談に行っても「いいんじゃないかな?」という風の反応が主だったので、文を研ぐのにはかなり苦労しました。

また、扱いたいトピックが丁寧に掘り下げる必要のあるもので、いい加減な書き方ができず、言及しないといけない事柄も多く、そもそもの要求字数(2000語*2)も大きかったので、純粋に必要な時間が長かったため、後述する数学との時間の食い合いが非常に辛かったです。

微分積分学I

春学期の数学入門の続き~という気持ちで履修したら思っていた20倍くらい大変でした。春と秋の数学を持っていた教授とは違う教授が講義を持っていたのですが、そもそも先生の評判がモゴモゴだったため、場合によっては履修せずに聴講しようかな、と思っていましたが、初回の課題は常識的な量だったので大丈夫だろうと思って履修しました。大間違いでした。

2年前まではAか落第かの両極端だったところ、1年前から反省してクラスの平均GPAが2.7になるように考えて成績をつけていると言っていましたが、1年前に反省しすぎたことを反省したとも言っていたためか、尋常ならざる量の宿題がでるようになりました。1問1時間かけてやっと解けるかどうかという問題を20問とか出してくるので、木曜日の講義から月曜日の演習までにやろうと思うと週末がまるごと潰れます。*3当然のように他の課題もあるので、他の課題を優先すると解けないし、こちらを優先すると他の課題が後回しになります。

また、講義でカバーする範囲を教科書のページ数を授業回数で割って決めているため、図の多い媒介変数や極座標の回は範囲が狭く、そうではない週は割と意味のわからない量のトピックを扱っていました(例:ベクトルの外積、空間における曲線と接線、偏微分偏微分のChain Ruleを2時間でやる)

抽象的な講義の合間に挟まれる自身のテレビ出演情報、フランスに関する雑学なども相まって、精神的に疲弊する講義から得られる学びはかなり少なかったです。が、講義に出席しないとその週の課題は分からないし、課題がわからないと演習に行ってももう「来てから解く」ができる規模の問題ではないので無意味になってしまうので、耐えるしかなかったのが厳しかったです。Cauchyから数えて何代目の弟子にあたるかって情報そんなに要ります?

いつも「このあと駒場で非常勤の授業があるから」と講義が終わるなり脱兎のごとく走り去っていたのですが*4、これでも私達は必修じゃないだけそっちの方々よりはマシなのだろうとは思います。ICUの人にはこれは難しいかな~という煽りがはいるのはこっち特有だと思いますが。この教授に必修単位を担当されるのはあまりにもご愁傷さまです……。

ICUに入って初めて「全部授業にでてるしできる範囲で宿題をやっているのに単位を落としたかも」という気持ちになる講義でした。悪いことは言わないので、この授業は必要な場合でも履修せずに履修しているのと同じ緊張感を持って聴講したほうが良いです。

離散数学基礎 (E開講)

プログラマをやっている友人に「この授業とったほうが良いと思う?」とシラバスを見せて聞いたら「微積よりもずっと大事」と言われたのでとりました。

範囲がめちゃくちゃ広くて、1回の講義スライドが70ページあるようなとんでも授業なのですが、どうやら他の数学の授業と内容が重複しがちなようで、春に数学通論Iをとった友人は前半(集合と論理の話)はまるごと既習だと言っていました。行列(線形代数Iで既習)も出てきたほか、途中で数列と級数の話(まさに微積Iで進行中)が出てきたり、数論と暗号の話も少し触れていたりしたので、終わった現在の感想は「情報科学に必要な数学に片っ端から触っていく講義」です。必要性は分かるし、ここから更に必要に応じて掘っていくための足がかりになる授業です。

中間試験と期末試験の前は真っ青になりながらスライドを読み返していましたが、この授業ほど簡潔なノートづくりの重要性を感じたことはありませんでした……。自分に後で分かるように大事なことだけ煮詰めたノート、とりましょう。

単位は来てると思うのですが成績には自信がないです。

情報科学実験

冒頭に書いたとおり、それまでの13単位相当から一歩だけ冒険した15単位にしたので、その分負担の軽そうな授業を取ろうと思い、秋に会った時に「来学期とります!」と先生に言ったら「君には簡単だと思います」と返されていたものの、「できそうなことを楽しく確認して単位と成績をもらいたい」という邪な動機で取りました。実際、Pythonはやったことがなかったので丁寧にゆっくり導入してもらえるこの授業はとってよかったです。微積でぼこぼこにされて「もしかして自分は頭悪すぎて大学なんかに来てはいけなかったのでは?」と思いそうになるところに、ちゃんと与えられた資料を読んで与えられた課題をこなせるという成功体験を毎週積ませてくれる情報科学実験は週で一番の癒やしでした。

プログラミング基礎と同様にコンピューター教室(シャットダウンするとデータは全部消える)での授業だったので、やはり自分の環境があると楽だなと思いました。*5

来年度はかなり内容が変わってArduinoを使うようなので、それはそれで楽しそうで羨ましいです。この授業を担当していた教授はプログラミング基礎でPythonを担当するようなので、たぶん似たような体験をできるのはそっちになります。

N2: グローバル情報学基礎

これも上記と同じ「負担が軽そうで楽しそうな授業を取ろう」シリーズ第2弾で、同じ先生で、同じように「君には簡単だと思う」と言われていた授業です。友人に誘われたのでとることにしました。

個人的な感想としては「欲張り情報学詰め合わせ」でした。ウェブの仕組み(IPアドレスとかドメインがあって~とかの話)、統計と機械学習の基本(spreadsheetで統計できますよとか交絡因子とかもあるから相関はよく考えろとか機械学習って万能じゃないよとかそういう話)、プライバシーとかセキュリティーの基本(RSA暗号の簡単な概要とかセキュリティとは何かとかの話)、おまけで量子コンピューターの話があって、どれももちろんそれほど時間はかけられないからあくまでさわりを紹介してちょっとやってみるという程度なのですが、「おもしろい!」と思えたらこの授業を入口に何をやってみたらいいかが分かる、とても良い授業でした。

めちゃくちゃオススメしたい授業としては残念なことに、来年度はなくなるようで、代わりに同じ先生が担当する「N2: データサイエンスの考え方」がこの授業の「機械学習の部分の続き」だとのことでした。

N1: 物理の世界

親しい上級生がおすすめしていたのでジェネの単位数確保のために取りました。

ごりごりに物理をするのではなく、ICUで大半を占める文系の人に科学的な考え方をするきっかけを与えたいという主旨の授業だったので、おそらく曲がりなりにも情報科学をやろうとしていて高校でも物理や化学を一応やった人間がとるのは不適切だったと思いますが、メジャーに関係なく理系のジェネを6単位取らないといけないので、時間割上綺麗に空いているところに収まって無理なくできそうなこの授業をとることにしました。

個人的な好みの問題もあると思いますが、私は合わなかったなと思います。

確かにコメントシートを通じて他の学生と行われるやりとりを聞いていると、文系と思われる生徒と理系もどきの私やごりごりの理系である先生の間にはかなり大きな考え方の違いがあるのは分かりますし、科学的な考え方を広めたいと思う先生の気持ちが間違っていないと私も思いました。しかし、そのコメントシート関係のやりとりに割かれる時間の長さや、そのために先生が披露するエピソードが模範として本当に正しいのかは疑問に思いました。理系における女子学生の少なさを是正したい気持ちはわかりますが、「理系に来るとモテるから理系やりましょう」と言われると、モテたいどころかモテたくない人間としては恐怖すら覚えます。

グループごとに自由研究をしてみて、実際に自分でリサーチクエスチョンを設定するところからはじめて実験をしてみる経験を通じて科学的な手法を学びましょう、という大きな課題は有意義だったと思いました。それ以外には目立った課題はあまりなかったので、きちんと計画的に研究をできるグループならおそらくスケジュールに無理のある負担は発生しないはずです。かなりしっかり評価を書かないといけないグループ間相互評価を期末期間終盤にしなければならなかったので、期末がある人にはたぶんそこが非常に痛かったと思います。

総合的には「人を選ぶ授業」だと思います。クセが強いので手放しで誰もにおすすめできる授業ではありませんが、基本的な理念は文系の生徒が多い環境では大事な良い授業なので、そのやり方が合う人ならたぶん学びが多いです。

課外活動の話

祭は本番が終わってからおやすみモードになっていて、この時期は引継書を書いたり(私は引き継ぐ仕事が何もなかったのでこれもなし)来年度の幹部に関する選挙をする期間でした。また、来年度も委員として残るか、それか今年度でやめるかの決断をする期限も冬の間にありました。

あまりにも自分が役に立っていなかったので、役立たずが残るくらいなら辞めたほうが少数精鋭で組織として良いのでは?と思うときもかなりあって、そういう気持ちを2年生(残ると決めている方)に相談させていただいたりした末に、向き不向きがあってもできることをやれるなら残ったほうが組織のために良いし、もともと自分がやりたかった仕事もまだできていなかったので、来年度こそできるはずだと思い、残ることにしました。

祭がお休みな冬学期ですら微積に殺されそうになった自分が、果たして来年度以降の内容が更にハードになるであろう授業に耐えながら本格的に仕事らしい仕事が増えてくる祭に耐えられるのかはまだわかりませんが、睡眠と勉強がおろそかにならない範囲でがんばらせてもらいます。

D6の方はIT担当になったので、新入生を迎える春に向けてデジタル面の改革を推進していますが、これが楽しくて楽しくて。できることをやるの、楽しいですね。

まとめ

組織における自分の無能さという授業に関係ないことに苦しんだ秋学期とは打って変わって、勉強面でかなり苦しんだ学期になりました。だいたい微積のせい。

春と秋にジェネを一つも取っていなかったのでいい加減とりはじめないとまずいと思ったのですが、ジェネは先生の癖がとても強くでるので、絶対にとったことのある人の体験談を確認した上でとったほうが良いと思いました。できれば自分に勉強のスタイルとかが似ている人の話だと更に良いと思いますが、こちらは難しそうです。

来学期から2年生になりますが、ここまでファンデばかりとっていたので、隙きあらばジェネをとりたいと思いました。自分が耐えられるちょうどいい単位数を探していきたいですね。

*1:GPA3.40以上ならその上限も突破できるようですが

*2:幸い、先生が語数に関しては柔軟だったので、2000語を超える分には好きにしなさいとお墨付きを頂けて、最終的にタイトル込みの本文は2500語になりました

*3:カナダで物理をやっている院生の友達に見せたら「これは異常」と言われました。ですよね!

*4:講義の後に「課題が多すぎてとても無理」と訴えたら「TAが月水金にいるはず、それかその辺にいる人に聞いてがんばって」とあしらわれて先生は立ち去りました。なおTAがいるのは月水のみです。先生?

*5:帰ってからやるわと言って課題を提出し忘れた友人がいました……合掌